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2012年01月28日
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        今の美術業界を考える(その411)

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アーティスト・リセール・ライト      2012年1月27日
  
 皆さん、知っていますか? この法律。もちろん、日本ではなくて
 ヨーロッパを中心とした美術関係の法律です。アメリカではまだ
 施行されておりませんが、そのうちに準拠するかもしれません。もし、
 日本でも採用されるようになったら、大変なことになるでしょう。

 では、どのような法律かというと欧米・中国・韓国では現代美術の
 作品の高騰が激しいため、現存作家ならびに死後70年以内の作家の作品
 に対して、オークションで売買された価格に対して、落札代金とは別に
 作家本人や遺族へ一定のロイヤリティを支払うアーティスト・リセール・
 ライトという法律です。その背景には、作家が生きている間に5億円、
 10億円と高額な取引をされるようになっても、その作家には最初に
 販売した代金しか(たとえば50万円とか100万円といった画料)
 支払われておらず、どんなにその作品が高額で取引されても、一銭も
 作家の手元にはお金が入らず、儲けるのは画商やコレクターだけなので
 それでは作家が可哀そうだということで設けられた法律です。その前提
 には、絵の値段が高騰するという社会的背景がヨーロッパ社会において
 共通認識としてあるからこそ、定められた法律です。
 さて、日本ではどうでしょうか? 日本社会の共通認識として、絵画の
 値段が、そんな勢いで上昇するようなことは、ここ20年はありません。
 村上隆さんの値段が高騰したのはアメリカ市場での話であって、日本
 国内の美術市場では相変わらず冷え切っています。草間弥生さんの値段が
 高騰するのは、欧米のオークションで高く売るために仕入れる画商が
 いるからです。

 法律というのは、その社会的な背景をベースに作られます。日本社会の
 常識というのは世界の非常識であると同時に、戦後、日本の法律を変える
 ことは、大臣の首がとぶくらいの出来事ですから、そう簡単には日本の
 法律を変えることはできません。さらに、文化関連の法律にいたっては
 議題に乗せることすら、大きな難題を抱えています。しかし、悲観した
 ところで何も始まりません。私は、世界の美術社会の常識を少しでも
 多くの日本人の人たちと共有したいと思っています。生きている芸術家
 を支えることが日本社会の常識になるように、情報発信をしていきたい
 と思っています。

 (この法律は今年2月のクリスティーズ、サザビーズのロンドンセール
により施行されはじめます。)


                         文責  野呂洋子

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