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メールマガジン 2010年05月08日発行
柳画廊
『文化大国日本』

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        今の美術業界を考える(その322)

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文化大国日本                 2010年5月8日
 
私にはたくさん将来の夢があります。その大きなひとつは「日本を文化大国
にすること」です。海外にいって思うのは、日本は豊かな文化や芸術がある
にもかかわらず、評価が低いというか、財産としての意識が低いと思っています。

諸外国を見渡して、日本ほど文化産業政策をおろそかにしている国はないと
思っています。税制を見渡しても、日本ほど文化に対する制度が何もない
国はないのではないかと思います。韓国は美術品には相続税がかかりませんし、
中国では相続税はもちろん、企業が美術品を購入すると全額損金算入可能です
。アメリカでは美術館への寄付控除の制度が充実しておりますし、フランスや
イギリスにおいても文化政策はさまざまな優遇措置が講じられています。
何故日本において文化政策がとられないか、理由を考えてみました。戦後、日本
が復興するにあたり敗戦国として経済的に立ち直るために、アメリカの
援助をもらいながら、軍事的にアメリカの軍を頼るという形をとり、
経済復興だけに集中して、今の日本が出来上がったのだと思っています。
文化は充分存在しているから二の次、三の次だったのが戦後の日本の政治でした。
当時のアメリカは、ヨーロッパ文化に傾倒しており、アメリカの自国の文化
を産業育成しようとしたのが1950年代後半で、ケネディ大統領はさまざまな
文化産業政策を実施しました。当時のアメリカは、経済的には栄えておりまし
たが自国の文化に対する誇りがもてず、その価値もなく、文化と歴史のある国
に対する劣等感がありました。それが、アメリカ人がフランスという国に
対する憧れという形で印象派という芸術の評価につながったのだと思います。
その、フランスは画商と官僚と政治家が協力して、フランス絵画の再評価
と、さまざまな文化産業政策に対して多大なる影響を与えた結果、今の
文化大国としてのフランスという国家が成立したのだと理解しています。

今の日本は、当時のフランス以上の歴史と文化があり、アジア諸国を見渡して、
中国やタイ、インドネシア、韓国などの美術館を巡っても、追随を許さない程
の充実した内容の美術品と美術館が多数存在していると思います。これらの
財産を見直し、企業と個人が美術品を購入するインセンティブを税制で与える
ことで、日本という国はフランスをしのぐ文化大国になることは間違いないと
思っています。

六本木に政策研究大学院という国立大学院が存在します。世界中の官僚を集め、
政治学、行政学、国際関係論、あるいはそれらの学際分野に基づいた政策効果
分析および政策評価の方法論を学ぶそうです。何人かの友人がそこに在籍して
いるので尋ねてみましたが、やはり文化産業政策を専門にしている方はいない
ようです。コンテンツや知財という分野の専門家はいるそうですが、文化・芸術
方面の政策を研究する人がいないというのは寂しい限りです。

日本の明るい未来を考えたときに、日本を文化大国にしていくことが、
多くの日本人を豊に、幸せにする一つの方法論なのだと信じています。

                    文責    野呂 洋子


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