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メールマガジン 2010年06月19日発行
柳画廊
『資生堂企業文化部』

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        今の美術業界を考える(その328)

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 資生堂企業文化部              2010年6月19日
 
先日、中央区の生涯学習課の講座で、現存するギャラリーとして最も古い
ギャラリーといわれている銀座の資生堂ギャラリーを運営する資生堂
企業文化部の部長さんのお話を伺ってきました。
私たち、コマーシャルギャラリーと違って、資生堂さんは化粧品という
本業があって、会社の一部の組織として企業文化部があり、そこの
直轄事業として資生堂ギャラリーが存在します。資生堂は1872年に
洋風調剤薬局として福原有信氏が創業し、初代社長は絵描きになりたかった
福原信三氏が継承されました。資生堂さんの企業理念は
‘私たちは 多くの人々との出会いを通じて、新しく深みのある価値を
発見し、美しい生活文化を創造します。‘
ということで、1916年に意匠部(広報・デザイン部)を創設され、
1919年には資生堂ギャラリーを開設いたしました。
銀座の街と、ともに歩まれた資生堂さんは明治政府が銀座に与えた
ミッションを継承しています。それは、日本の人々に最新西洋文化、文明
を見せる窓口にすること。外国から来た人たちに日本の最高レベルの
商品を見せること。大火に備えて大火煉瓦の防火壁を作ることも当時の銀座に
とって大きなミッションだったそうです。
銀座のモダンな先進性は、明治政府の肝いりだったようです。

さて、1980年代後半には多くの企業が企業メセナと称して、文化事業
に参入してこられましたが脈々と続いているのはわずかな企業だけです。
その中で、資生堂さんは我々美術商からみても、素晴らしい貢献と功績を
残されていると思っています。講演の最期に文化部長にちょっといじわるな
質問をしてみました。
「大企業の中で、企業文化部というと利益をあげる部門でなく、お金が
かかるという意味で、経済合理性から営業部などから批判のような意見は
でてきませんか? また90年という長い歴史の中で、企業文化活動を
やめろという圧力はありませんでしたか?」
このお返事が素晴らしいものでした。資生堂では、文化活動によって
経済的な価値基準だけではない文化的社会的、人間的な価値軸を企業活動
に取り込むことが出来ると考えています。
また文化支援を経営の自己実現のひとつの方法と考えている。という
のです。さらに、資生堂では新入社員研修で一番力をいれているのが、
企業理念や企業の歴史・文化の継承で、企業文化部がこの役割を
果たしているのだそうです。
これからの課題は、企業のグローバル化に伴い、現地採用の人たちに
資生堂の企業理念や企業の文化の共有を図るのが企業文化部に託された
使命であり、企業文化を人やモノやお金と同様に経営に生かしていくことが
大切であり、それらが大きなミッションと考えているそうです。

美術に携わる一人として、これからの資生堂の発展を心から祈願して
やみません。

                    文責    野呂 洋子



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